先日スーパーで68円の納豆を買うためにクレジットカードを出したのですが、驚くべきことを聞かれました。
「当店は分割の取り扱いはありません。一括のお支払いでよろしいでしょうか?」と。
わたしは「はい。一括で大丈夫です。」と笑顔で返事しましたが、「68円の納豆を分割で購入したいわけがないだろう?」と内心思わずにはいられませんでした。
極端な事例を取り上げましたが、日本の社会では実は珍しいことではありません。
日本社会は依存体質です。何に依存しているかというと『会社』や『ルール』に過剰に依存している人が多いということです。
もちろん会社で働いて稼ぐことが悪いわけではありません。わたしは「メンタル面までも会社やルールに過剰に依存することで、大きなチャンスを見過ごしていることを忘れるな!」といいたいのです。
例えば冒頭で紹介したレジ打ちのアルバイトさんは、マニュアルに忠実に仕事をしているだけなのだと思います。
わたしからすれば、「なぜ?ああしないのか?」、「なぜ?こう考えないのか?」と疑問に思うようなことでも、アルバイトの立場からすれば知ったこっちゃないのでしょう。
なぜならば本質的にアルバイトが売っているものは「生命時間」であって、アイディアから生まれる「付加価値」や「創意工夫」ではないからです。
むしろ組織の中で「付加価値」や「創意工夫」を発揮すれば、上司や同僚から「仕事を増やすんじゃないよ!」、「マニュアルに書いてないことをするんじゃない!」などと叱責されたり、疎んじられてしまう可能性だってあります。
つまり会社で言われたとおりのことを忠実に実践することが「マジメに働く」ということなのですが、残念ながらこれからの時代はマジメに働けば働くほど報われない時代に突入することを忘れてはいけません。
マジメに働けば働くほど報われない時代が突入する根拠は、「AI技術の発展」です。
例えばレジ打ちの仕事は少しずつセルフレジになるでしょうし、多くの仕事がAI技術に奪われることはすでに既定路線の現実になろうとしています。
つまりAI技術の発展によって「生命時間」の需要が少なくなるので、お金に困りたくないなら「別の商品」を売らなければいけないということなのです。
そして「別の商品」とはすなわち、『付加価値』であり付加価値とはひらたくいえば「アイディア」であり「魅力な提案」」であるということは前回の講義でお伝えした通りです。
なお前回の講義では、「魅力的な提案・アイディアを考える」ことに異常なほどの苦手意識をもってしまう日本人が多いということに触れました。
さらに前回の講義の最後には、「なぜ?苦手意識をもってしまうの?」、「苦手意識を払しょくするにはどうすればいいのか?」ということについて解説すると予告しました。
勘のいい方ならお気づきでしょう。もうすでに答えの半分は、あなたにお伝えしているのです。
そうなんです。「魅力的な提案・アイディアを考える」ことに対する苦手意識の元凶は、『会社』や『ルール』に過剰に依存するメンタリティーにあるのです。ひらたくいえば「丁稚(でっち)根性」というやつです。
日本の雇用制度は、江戸時代から丁稚奉公が前提になっています。
20代、30代でどれだけ結果を出してもそれほど給料は上がらず、40代の役職になって給料は急に上がるようになっています。
つまり入社してから20年間は搾取される側、40代から定年までの20年間は搾取する側に回るという仕組みです。それで収支がトントンになるようにできているのです。
以上のような丁稚奉公が「終身雇用」の正体です。「終身雇用は終わった」などといわれる令和の時代になっても、会社に自分の「生命時間」を売り渡すことを前提にしているがゆえに、報酬体系は変わっていません。
先日、ある新入社員(女性)の「給料日になっても給料が振り込まれていない。同期に確認したら全員、給料が振り込まれていないというのでパニックになった。」という悩みがニュースになっていました。
「初任給が振り込まれていない」ことだけでも衝撃を受けますが、さらに驚いたのは、その新入社員のコメントです。
実は、会社にはまだ何も言えていなくて、上司からの説明もまだありません。あまりに何も説明してこないので、それが当然だと思っていて、こちらから何も聞けてません。親にもまだ内緒にしていて、話せていないんです。おそらく同期のみんなも同じ状況だと思います。本当は上司に聞くべきなんでしょうが……
【引用:biz SPA!】
結局のところ、日本の労使関係は令和になった現在においてもギブ&テイクではなく、「主従関係」だということです。
主従関係である以上、ご奉仕する会社はひとつであり、上司からの指示には「はい」か「YES」で答えるのも基本中の基本だということです。
ではどうすればいいのでしょうか?
答えは簡単です。「丁稚根性を捨てる」です。
「丁稚根性を捨てる」ということは、「会社を辞めろ!」ということではありません。(念のため)
会社を辞めれば強制的に丁稚根性を捨てることはできるでしょうが、それは荒療治というものでしょう。
わたしは丁稚根性を捨てきれないまま脱サラし、丁稚根性を捨てないと「破産するかもしれない」というところまで追い詰められて大変な思いをしました。
だからあなたに「会社を辞めろ!」だなんて無責任なことはいえません。むしろおススメするのは「仕事を増やすこと」です。
もちろん仕事を増やすといっても、生命時間を売ることが前提の丁稚奉公をおススメするわけではありません。仕事を増やすとは「考える時間を増やす」という意味です。
具体的には、どのような問題を抱えている人に、どのようなことを提案したら、お金を上手に使える人間だと認めてもらえるのか?
ということを徹底的に考えるのです。
次回は徹底的に考えるとはどういうことなのか?という点ついて、もう少し詳しく解説したいと思います。お楽しみに!