前回の講義では、これからの時代お金に困りたくないなら「丁稚根性を捨てるべし!付加価値について徹底的に考えるべし!」という教訓をお伝えしました。
今回の講義では「徹底的に考えるとは?」というテーマをもう少し掘り下げたいと思います。
漫画『島耕作』でもたびたび登場していたお蕎麦屋さん「港屋」(虎ノ門)が2019年2月に突然閉店しました。
奇抜なお店でした。ラー油が蕎麦に入っているし、立ち食いだし、お店は暗いし、生卵無料だし、オープンキッチンスタイルだし、なによりも店長(兼オーナー)の菊池さんの笑顔が妙に印象に残るお店でした。
わたしは「港屋」の大ファンでした。開店前から大行列です。平日なのに30人~50人以上並んでいました。
店主である菊池さんの都合により惜しまれつつ閉店した「港屋」ですが、港屋誕生のエピソードを知ると、「徹底的に考えるとは?」ということがよくわかるので紹介します。
オーナーの菊池さんは26歳の時に脱サラして港屋を創業したのですが、またたくまに大人気店になりました。菊池さんはインタビューでこんなことをコメントしています。
自分はそば職人をやっていたという感覚はあまりありません。「菊地がそば屋を表現すると港屋だよ」という事だと思います。26歳で脱サラし、1年間スタジオにこもってましたね。ひとりで。どんな空間で? どんな食材で? 欲しい物はゼロベースで作り……という訳です。全部、自分でやらないと気が済まないんでしょうね。
【引用:文春オンライン】
わたしが注目したのは創業前に「1年間スタジオにこもっていた」という点です。
つまり菊池さんは「飲食店をやる。」ことだけ決めて脱サラし、脱サラした後に忙しくするわけではなく「1年間考えることに時間をつかった。」のです。
実はあの伝説の投資家ジム・ロジャーも「考える」ことの重要性を強調しています。
ある場所に商機が見えたら、それは正しい判断である。あとは買うだけだ。でも逆に言えば、確実に商機が見出せるまでは、何もしてはいけない。たいていの人は、常に動き回っていなければいけないと思い込んでいる。常に株価を気にして、何か行動を起こさなくてはいけないと忙しくしている。でも、それは間違いだ。
【引用:お金の流れで読む日本と世界の未来】
また世界的に有名な経営コンサルタントである大前研一さんも、「起業するなら1年後までの日記をあらかじめ書いておけ!」とアドバイスしていました。
もし今あなたが何かに挑戦していたり、これから挑戦する予定なのであれば、「がむしゃらに頑張る」前にやることがあるということがいいたかったのです。
何をするのかって?????もちろん「考える」ことです。
さて、これまでの内容を少し振り返ってみましょう。
お金を稼ぐとは「お金(キャッシュ)を集めること」です。(そうでしたよね?)
お金を集めるためには出資者や金融機関の担当者に「この人(あなた)なら成功する」と思ってもらわなければいけませんし、見込み客には「この人はお金の使うのが上手だ!」と感じてもらわなければいけません。
出資者や見込み客という他人に「あなたのアイディア」を信じてもらわうために一番重要なことはなんでしょうか?
まずやるべきことは『あなた自身の確信を深めること』です。
もしあなたが「顧客に払ってもらう金額以上のサービスを提供する自信がない」という状態なのであれば、最初からお金(キャッシュ)なんて集めるべきではないのです。出資者や見込み客にも失礼だからです。
ビジネスや副業世界では「これをやれば稼げる」という甘い囁きがそこら中に転がっていますが、一番重要なのは「あなたがその甘い囁きを信じられるのか?」ということなのです。
他人から「これをやれば稼げる」とアドバイスされて、そのアドバイスを信じたとしても、少し時間が経過すれば「本当か?」と疑ってしまうのが人情というものです。
そもそも「これをやれば稼げる」というアドバイスに素直に従うという発想自体が、「生命時間を売る」という丁稚根性そのものであることに気づくべきです。
これまでの講義では繰り返し「お金がほしいなら、お金がある人からお金をもらうのが一番効率的な方法です。お金の使い方が上手な人にお金を預けるのが人間の習性であり資本主義の摂理です。」ということをお伝えしてきました。
そして『他人』(出資者や見込み客)にそのことを理解してもらうためには、「付加価値」(例:マクドナルドの期間限定商品は美味しそう!)を創り出すことが肝であることも説明しました。
さらに「付加価値」を生み出すためには、「考える」ことが重要であることも解説しました。
わたしの場合、脱サラしてがむしゃらに頑張ってそれでも何もうまくいかなくて、「ガムシャラに頑張ったのに貧乏。絶望しかない。」という状態を経験したから、「考える」ことの重要性を身に染みて理解できるのですが、あなたの場合はそうではないでしょう。
ですからこれまでわたしが解説してきたことを「なんとなく理解」することはできても、「今日から実践できる!」人はほとんどいないはずです。
その証拠に「考える重要性はわかったつもりなのですが、どうやって考えればいいのですか?」と途方に暮れる人が本当に多いのです。
そこで次回は「考える」ということを実践する方法について、もう少し詳しく説明したいと思います。お楽しみに!